慢性疼痛再生医療
Chronic pain regenerative medicine
慢性疼痛とは
慢性疼痛とは、けがや病気などの治療をしたにもかかわらず、3ヶ月以上痛みが持続する状態のことをいいます。
国際疼痛学会(IASP)では、慢性疼痛を「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」と定義しています。
国民の1割以上が悩んでいると言われ、大きく分けて3つの原因があります。
侵害受容性疼痛
痛みを伴う疾病による疼痛で、変形性膝関節症、関節やリウマチ、がんなど完治が難しい病気による痛みがあげられます。
神経障害性疼痛
神経の痛みによる疼痛で、帯状疱疹などの感染症や、交通事故による外傷などが原因で神経が傷ついておこる痛みです。糖尿病も進行すると末梢神経にダメージを与えられるため慢性的な痛みを感じる場合があります。
中枢機能障害性疼痛
心理的な意影響による疼痛で、過剰な痛みを抑える脳のオピオイド系という神経が、ストレスなどの心理的な要因により機能を失っておこる痛みです。軽度な刺激でも激痛を感じるようになる場合もあります。慢性疼痛を放置すると、慢性的な痛みによるストレスで心身共に消耗し、うつ傾向となり社会生活に支障をきたす可能性もあります。
慢性疼痛と再生医療
慢性疼痛の治療には、原因の疾患、症状ごとに、薬剤による治療、理学療法、精神療法などさまざまな治療の選択肢があります。 各治療法で効果が出る場合もありますが、原因が不明のあ場合、原因が判明していても既存の治療では慢性疼痛を取り除けない場合もあります。 長期的な痛みは、日常生活、社会生活を困難とし、またそれが原因でストレスとなりさらに痛みが悪化してしまう悪循環に陥る可能性があります。 当クリニックは、治療の選択肢として再生医療をご提案しております。
再生医療に用いられる幹細胞とは?
ヒトが持つ幹細胞のひとつでMSC(MSC mesenchymal stem cell)とも呼ばれている「間葉系幹細胞」。間葉系幹細胞は成体幹細胞の一つで、人の骨髄・脂肪・皮膚・臍帯・滑膜(関節の周囲組織)など体内の様々な部分に存在しています。
採取する部位により「臍帯由来」「脂肪由来」「骨髄由来」「歯髄由来」などと呼ばれ、それぞれの部位により特徴を有しているため、治療目的に応じて選択されることが必要であると考えられます。

臍帯由来
ヒトの臍帯より採取した幹細胞を培養する「臍帯由来」。胎児の血液や組織を作り出す源であり、増殖能力・分化能が高いといわれています。

脂肪由来
ヒトの脂肪より採取した幹細胞を培養する「脂肪由来」。骨や肌、毛髪など外胚葉への進化する脂肪細胞由来であり、アンチエイジングに効果的と言われています。脂肪由来幹細胞は、炎症を抑える効果のある物質も分泌するため、症状の悪化を防ぎ、炎症そのものを抑制する効果も期待できます。また、脂肪由来幹細胞は、疼痛の要因となっている末梢神経の炎症部位や、末梢神経障害が生じている部位に作用することも明らかになりました。炎症や損傷を受けた骨細胞や皮膚細胞等の体組織を再生する能力も備わっています。

乳歯歯髄由来
乳児の脱落前乳歯の幹細胞を培養する「乳歯歯髄由来」。神経損傷・DNA 損傷の少ない良質な幹細胞由来であり、抗炎症作用・血管新生・幹細胞誘導能力に秀でているといわれています。
当クリニックの慢性疼痛再生医療について
当クリニックでは、疼痛の要因となっている末梢神経の炎症部位や、末梢神経障害が生じている部位に作用することが期待される「脂肪由来幹細胞」を使った、自己脂肪由来幹細胞による慢性疼痛再生医療を提供しております。
当クリニックは厚生労働省の承認を正式に受けて、再生医療を提供しております。

当クリニックは、厚生労働省に再生医療等治療計画を受理された再生医療等提供医療機関です。「慢性疼痛」に対する脂肪由来幹細胞治療の提供計画が厚労省に受理されております。ご希望の方は、お気軽にお問合せください。
治療計画 | 慢性疼痛に対する自己脂肪由来幹細胞による治療 |
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審査委員会 | 日本医理工連携 特定認定再生医療等委員会 |
委員会審査日 | 2022年5月31日 |
判定 | 承認 |
厚生労働省受理 | 2022年9月29日 |
計画番号 | PB5220033 |
慢性疼痛再生医療による治療の流れ
当クリニックの自己脂肪由来幹細胞による治療の流れは、患者様の腹部または太ももの内側を少し切開して脂肪組織を採取します。また同時に細胞培養に必要な血清成分を抽出するため、100mlほどの採血をします。脂肪の中から幹細胞だけを集めて数週間~1カ月程度かけて細胞を増やします。その後、静脈へ投与することにより体内に戻します。
点滴投与後1か月程度で電話等にて状態を確認するとともに、必要に応じて来院をして頂きます。1~2ヶ月に1回の頻度で投与しますが、1回~2回投与で効果が見られた場合には、1回~2回で治療を終了することもあります。

カウンセリング
まずは施術を受ける前に、担当医師によるカウンセリングで、問診、患者様ご本人・ご家族のご希望やお悩みをしっかりとお伺いし、慢性疼痛再生医療の効果や
副作用など、治療について丁寧にご説明します。
ご心配なことやお悩みなど、お気軽にご相談ください。

採血・血液検査
治療申込みをしていただき、同意書にご署名後、血液(20~50cc)を採取します。 血液検査から結果判明までは約1週間ほどかかります。血液検査結果「適合」の場合、脂肪細胞の採取をします。

脂肪の採取・採血
患者様の腹部または太ももの内側を少し切開して脂肪組織を採取します。同時に細胞培養に必要な血清成分を抽出するため、100mlほどの採血をします。

培養
無菌下で熟練の培養技師が概ね4週間以上かけて、選択的に脂肪細胞を培養し、活性化させます。

投与
増殖・活性化した幹細胞を静脈点滴で体内にお戻しします。ご自身の細胞ですので、副作用はほとんどありません。

定期健診
治療後3カ月目に、定期健診を行います。
投与2回目以降は脂肪の採取は必要ありません。
慢性疼痛再生医療の期待される効果
- 体内に投与した幹細胞は体内の傷ついた場所に集まり、炎症を抑え傷ついた組織を修復する性質があります。
- 痛みの原因となる慢性炎症を抑え、末梢神経の傷害部位を修復することにより疼痛を緩和させる効果が期待できます。
- 幹細胞の特性により、原因が分からない疼痛についても痛みの軽減が期待できます。
効果には個人差があります。
慢性疼痛再生医療のリスク・副作用
ご体調に不安がある場合は施術を受ける前に必ず医師にお伝えください。
患者様の体調や状態により、身体に影響を及ぼすおそれがある場合、施術を中止もしくは延期させて頂く事もございますのであらかじめご了承ください。
点滴時に静脈確保が困難な場合、複数回の刺し直しをする場合があります。
細胞投与に関しては、拒絶反応の可能性はほぼありませんが、投与後に発熱、まれに嘔吐、注入箇所の腫脹が出ることがあります。
また、細胞加工工程において生じる工程内不純物等によるアレルギー反応により、ショック・アナフィラキシーを起こすこともあります。
脂肪細胞採取時 | 脂肪由来幹細胞を取り出すため、患者様の腹部または太ももの内側の皮膚を切開します。それに伴い出血、血腫、縫合不全、感染等が出ることがあります。必要かつ十分量の自家脂肪組織を採取する必要がありますので、切開等による傷痕が残る可能性があります。 |
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点滴投与時 | ・注入時・注入後に注射部位周辺等に血管痛、掻痒感が生じる ・気分不良、嘔気、胃痛、胸部から直腸付近への熱感、低血圧等の可能性 ・注射部位の内出血 |
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慢性疼痛再生医療の料金
初診料
カウンセリング(初診料) | 2,200円 |
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慢性疼痛再生医療
慢性疼痛再生医療 | 手術費・検査費を含む | 3,850,000~6,050,000円 |
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上記費用はあくまで目安となります。
当クリニックは自費診療となります。
当クリニックの価格はすべて税込表示となります。